カンターロ・サイクル予告/銀河系に還る

メモ, ローダン

明日10月18日にハヤカワ版699巻『炎の嵐』が発売になる。タルカン・サイクル、宴もたけなわ。アフ=メテムとの決戦である。
さて、そのタルカン・サイクルは次巻前半、1399話「エスタルトゥ」で完結……と相なるのだが。過去記事等でも書いたとおり、不評のため、急遽打ち切り。前巻前半、1395話「戦闘部隊ラグナロク」は原稿アップ後に書き直したというから、かなり切羽詰まってからの内容変更である。新サイクルの宣伝なども、当然まるでやってこなかった。いやLKSとか、付録レポート内で掲載した草案作成関連記事で“匂わせ”程度はしていたが、それは当然、路線変更前の中身であった。

そして、1399話の読者とのコンタクト・ページをまるまる使って、言い訳と予告をぶちあげたわけ(笑)
「〈それ〉サイクルと言ったな、あれは嘘だ」
「誕生史とかも、やらないよーん」
みたいな弁解後に、ほぼ見開き使った予告記事「1400話からの新サイクル」が、以下となる。サイクル名も未発表(たしか、半年後くらいのLKSで読者の質問に回答したはず)なので、この記事のサブタイトルをとって、仮称・銀河系に還るサイクルだった。かっこいいので、サイクルジンのタイトルにも使用したw
ぶっちゃけ、1418話あたりまでのあらすじ同様なので、いやだ!わたしは知りたくない!という方はまたの機会に。

銀河系に還る / Zurück in die Milchstraße

ついに起こらざるをえないことが起きた。皆が怖れ、そうはならぬよう願っていたことが。
ハンガイ銀河のタルカンから通常宇宙への転送をはじめとする多くのドリフェルへの干渉は、もはやそのようなことが起こらないよう、コスモヌクレオチドを発作的に“店じまい”させるにいたった。自己防衛、ひいては宇宙モラル・コード防衛のための対処といえよう。
高次の秩序勢力、すなわち〈それ〉やエスタルトゥを含む超知性体やコスモクラートは、モラル・コードのマスターを自認し、そのうちに宿る力を思うがまま、自在にあやつれると信じた。第三の究極の謎の回答を知らぬというのに。だが、大自然、あるいは自然じねんの宇宙秩序とでもいうべきものは、自身と宇宙構造を維持・再生するために逆襲した。
そしてそれこそ、〈システム〉がローダンと仲間たちの前に示し、おそるべき現実となった回答なのだ。ドリフェルの作用範囲たる〈5000万光年の天球〉全域に影響を及ぼす、恐怖の宇宙的大破局にいたった。
タルカン艦隊の14隻は、説明しがたい宇宙的力に捕らわれ、停滞フィールドのなか凍りついて見知った世界からもぎとられ――そして、停滞フィールドから解放されたとき、まったくことなる環境にいた。
ペリー・ローダン、アトラン、レジナルド・ブル、その他タルカンへ突入した艦艇の乗員たちは、悪夢のなかにいる自分を見出すのだ。
彼らは自問する。ここはそも自分たちの宇宙なのか。しかし、どれほど幻想的で、異質で、説明がつかずとも、明確で誤解しようのない回答が存在した。
そう、ここは彼らの、通常宇宙なのだ!
そして驚くべきことに、彼らは本来の生存圏にいた。〈それ〉の力の集合体、局部銀河群の銀河。銀河系、ピンホイール(ハヤカワ版:三角座銀河)、アンドロメダ――そして、ハンガイ銀河。
――ただ、そこはもはや、彼らの知る局部銀河群ではなかった。そして、〈それ〉の生存のきざしはない。失踪したか、あるいは滅びたか。
――高次秩序勢力はなおも力ある存在なのか、それとも自らの解きはなった力に押し流されてしまったのかという疑問も生じる。
――宇宙は、少なくとも局部銀河群は、完全にタガがはずれてしまっていた。
――破局の影響をまぬがれたものは、どこにも存在しなかった。
局部銀河群ではカオスが解きはなたれたのだ。銀河系や隣接するマゼラン星雲を含むあらゆる銀河で、暴走するハウリによって開幕したおそろしい戦乱が吹き荒れ、次のような状態にいたった。
――グラド、マークス、ピンホイール・カルタン人をはじめとする多くの種族が孤立状態に引きこもった。
――そして、ハンガイの文明はストレンジネス・ショックの長期作用抜きでも退行し、原始状態に帰った。
――カンサハリイヤは数十万の小国家群に分裂した。
ローダンと友人たちはゼロからはじめなければならない。彼らのものでありながら、自分が異邦人のなかの異邦人であると気づかざるを得ない世界で。一歩ずつ、手探りで彼らは銀河系へと進む。秘密のヴェールを一枚ずつ解き明かし、ついに思い知るのだ。ここに彼らの居場所はないのだと。

彼らはおのれの宇宙のなかの異物。
銀河系は彼らを望まない。
なぜなら銀河系は閉ざされた、堅牢に封鎖された、昏い、謎に満ちた場所になっていた。
立入禁止! 封鎖エリア!
ペリー・ローダンの名は忘れ去られ――
ただ、ポスビらわずかな者たちに語り継がれる伝説でしかなかった。

ローダンと友人たちは、艱難辛苦のなか手探りで前進せざるを得ない。彼らの目標、銀河系の秘密の解明にむかって。モザイクをピースごとにかき集め、しだいに事態の全体像をつかんでいく。だが組み合わされたモザイクは歪んでおり、ひとつ回答を得るごとにさらなる質問が投げかけられるのだ。
希望の最初の手がかりは〈四腕の予言者〉のシュプール。道筋は二百の太陽の星へといたる。だが、そこはポスビのいない世界だった。
銀河系への帰途は、マークスの宇宙駅、二百の太陽の星――ポスビのいない――、そしてポルレイターの援助の望めるM-3へと続く。
しかし彼らは人類やギャラクティカーとの関わりを拒むのだった。ただ、漠然とした手がかり、アムリンガルと密接な関係があるらしい、〈過去の支柱〉という示唆だけが与えられる。
続く、〈サトラングの隠者〉との出会い。彼は古き友だが、その素性が知れたのは、すべてが手遅れになってからのこと。
ローダンら故郷を追われた者たちの道はマゼラン星雲のグラドのもとへ。だが、グラドはローダンが彼らの故郷銀河をクロノフォシルとして活性化したことへの感謝など知らぬかの対応。事態の背景など知らぬと主張する。だが、何かを隠したいのは明らかだった。
たとえば、勢力をのばしつつある、まだ若き宇宙航行種族ベカスとのコンタクト。そしてその庇護者――宇宙の遠い領域からドリフェルの破局によって誘き寄せられ、不透明なゲームを演じる強大な未知者たち。
そのつながりで、新たな名前が浮かびあがる。畏怖をもって囁かれ、多くの推測と興奮を呼びさます名称:〈カンターロ〉
このサイボーグたちは何者か?
いかなる目的を追っているのか?
その存在の秘密とは?
そして、なにより:その優れたハイテクをどう使うつもりなのか?
ローダンは〈ブラックホールの支配者たち〉(*)の存在を知る。星の遺骸の信じがたい力をあやつる術を知り、人類には果たせずにいた「アインシュタイン=ローゼン橋」を実現した者たち。だが、これらすべての知見でも足りない。それでは銀河系への、テラへの扉を開けないのだから。
ローダンはやがて〈過去の支柱〉へと挑み、そこで彼を死んだと思っていたものと遭遇し、旧交を温める。だが、彼の渇望する答えは、〈過去の支柱〉を通過することでのみ得られる――スキュラとカリュブディスのはざまを抜ける危険なオデッセイだ。
ペリー・ローダンと友人たちがその企てに成功し、銀河系に還ることを成し遂げたとき初めて、燃えるような疑問への回答が望めるのだ:

地球はまだ存在するのか?
人類は?
銀河系の他の種族はどうなった?
〈それ〉に何が起こり、なぜ超知性体はその庇護の手を力の集合体に――人類に――差し伸べないのか?
謎に満ちた銀河系の支配者たちとは何者?
いかにしてテラナーと兄弟種族の銀河を強固に封鎖し、誰もたどりつけず――出られないようにしたのだ?

無論、同様の疑問はまだまだある。たとえば、エスタルトゥ十二銀河に残った者はどうなった/どうしているのか――イホ・トロトはM-87でいかなる運命をたどったのか――砕けた《ナルガ・サント》の残り4/5はどこにあるのか――どれほど苦痛に満ちた試練をゲシルが耐えねばならなかったか……等々。
だが、それらはここにふさわしくない。占者はすでに多くを語りすぎており、ペリー・ローダンたちの未来を読み取ったタロットをしまい込んだのだ。

*)〈ブラックホールの支配者たち〉の名称は、おそらく〈回廊の主人たち〉に差し替えられたと思われる。

Posted by psytoh