ファンタスティーク大賞2012本選はじまる
7月14日付けで、ドイツ・ファンタスティーク大賞の2012年本選がはじまった。
期間は8月31日まで。
主だった部門のノミネート作品は以下のとおり:
■長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:
Andreas Eschbach / Herr aller Dinge / 森羅万象の王 (Bastei Lübbe)
Bernd Perplies / Gegen die Zeit / 時間との競争 (Lyx)
Gesa Schwartz / Nephilim / ネフィリム (Lyx)
Kai Meyer / Arkadien fällt / アルカディア崩壊 (Carlsen)
Markus Heitz / Vernichtender Hass / 破滅もたらす憎悪――アルバの伝説 2 (Piper)
ベルント・ペルプリースは、4月にローダンNEO12巻を担当したばかり。スタトレの翻訳なんかも手がけている。今回の作品は、現代を舞台にした〈魔法のたそがれ〉三部作の第2巻。『時を遡れ!』にしようかとも思ったが……遡んないような気もするし(笑)、無難な仮題で。
大御所カイ・マイヤー、常連マルクス・ハイツともども、シリーズ作品が多い。そして、先般の受賞作リストを見ればおわかりのとおり、これまでノミネートされれば必ずハイツが大賞を獲得している。4連覇(対象作がなかった年を勘案すれば実質7連覇)は、はたしてどうなるか。
■短編部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte:
Armin Rößler / Das Versprechen / 約束 (収録:Emotio)
Eddie M. Angerhuber / Die darbenden Schatten
/ 餓える影 (収録:Die darbenden Schatten)
Karla Schmidt / Auf dem Wind. Allein / ただひとり。風に乗り。 (収録:space rocks)
Karsten Kruschel / Violets Verlies / ヴァイオレットの地下牢 (収録:Emotio)
Nina Horvath / Die Duftorgel / 芳香オルガン (収録:Prototypen)
Uwe Post / Träumen Bossgegner von nackten Elfen?
/ ボスキャラどもは裸エルフの夢を見るか? (収録:Prototypen)
収録短編集詳細:
・Emotio: Armin Rößler und Heidrun Jänchen編, Wurdack Verlag
・Die darbenden Schatten: Eddie M. Angerhuber著, Atlantis Verlag
・space rocks: Harald Giersche編, Begedia Verlag
・Prototypen: Harald Giersche編, Begedia Verlag
今回は、わりと前の2賞関連で見たような作品が並んでいる。
その中で、『餓える影』は、ホラー短編集からの1作。『餓影』だと、どこかのコミックスみたいなので、ちょっぴりルビさんに頑張っていただいた(笑)
■海外作品部門 Bester internationaler Roman:
Brandon Sanderson / Der Weg der Könige / The Way of Kings / 王の道 (Heyne)
Carlos Ruiz Zafón / Marina / マリナ (S. Fischer)
Iain Banks / Krieg der Seelen / Surface Detail / サーフィス・ディテール (Heyne)
Patrick Rothfuss / Die Furcht des Weisen 1 / The Wise Man’s Fear
/ 賢者の怖れ (Klett-Cotta)
Ransom Riggs / Die Insel der besonderen Kinder
/ Miss Peregrine’s Home for Peculiar Children / ミス・ペレグリンの特異児童院 (Pan)
ブランドン・サンダースンはミストボーンや時の車輪(最終章)が本邦紹介済み。
カルロス・ルイス・サフォンはスペインの作家で、〈失われた本の墓場〉四部作(4巻未刊行)が順次翻訳出版中。
イアン・バンクスの作品は〈カルチャー〉シリーズの一作。
ロスファスの作品は〈キングキラー・クロニクル〉三部作の二巻目(を二分冊にした前半)。
ランソム・リッグズの処女小説は21世紀FOXが映像化権を購入済みとのこと。
■新人部門 Bestes deutschsprachiges Romandebüt:
Andreas Gross & Hans-Peter Schultes / Im Schatten des Blutmondes
/ 血の月影 (Saphir im Stahl)
Janika Nowak / Das Lied der Banshee / バンシーの唄 (Pan)
Kerstin Pflieger / Die Alchemie der Unsterblichkeit / 不死の錬金術 (Goldmann)
Thilo Corzilius / Ravinia / ラヴィニア (Piper)
Thomas Elbel / Asylon / アシュロン (Piper)
やはりファンタスティーク大賞、ファンタジー系が主流である。
とはいえ、シリーズ部門にはアメコミ悪役からの派生シリーズをハイツがノヴェライズしていたり驚くことはいくつかあった。とりあえずは、本選の行方を見守るとしようか。
■DPP公式サイト:Deutscher Phantastik Preis
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