363巻『ギャラクティカーの同盟』について

ハヤカワ版

もはや先月分のやり残しではあるのだが、363巻『ギャラクティカーの同盟』について。著者は、前半「ギャラクティカーの同盟」がクナイフェル、後半「ダッカル・ゾーンにて」がフォルツ。訳者は渡辺広佐さん。

まず、前半はアフィリー・サイクル前半の転回点(一応)、ガフェク(あァ、銀尊連とかになるのか?コレ)の成立である。で、あるが……なんというか、かなり投げっぱなしな感は否めない。誰も彼もが「ハルト人がくるまで議決は先送りだぁ」って、そんならまず、確実にハルト人を呼ぶための工作エピソードがないとまずいだろ、アトラン閣下。
あとは、アンティ使節パアルノクの顛末、知ってはいたが、やっぱり後味悪いわ。ヴラトも実に都合よく使われてるし、これじゃ、ホントに銀河諸種族がひとつになったとは、とうてい言えまい。もともと、主立った種族、というメンツが、かなり限定的というか、一部をのぞきテラナー友好票が幅利かせすぎなのは、機密保持の観点もあれ、どーなのよ。
そういえば、ラール人が銀河を征服して、これまで未知の星間帝国とか出てこないのは、わりと不思議。大群のときの“秘密帝国”で、銀河系文明種族は弾切れということなのだろうか。
#まぁ、1500話のリング人の例もあるけどね

後半はバラインダガル崩壊にまきこまれた《ソル》のローダンたちに場面転換。
ダッカル空間に吐き出された亜鈴船は、次元風船(……)内部を支配するツグマーコン人と遭遇。かれらこそは公会議の実質的支配種族であり、コンタクトの際のトラブルから、グッキーたちコマンドは、厳重に秘匿された“闇のスペシャリスト”オルウの眠る霊廟を発見し、状況打開のため、めざめた隠者を“誘拐”することに――。
と、書くとすごそうだが、ツグマーコン人が強力な科学力をもつすンごい種族なのか、実はそれほど大したことない連中なのか、いまいち見極めがつかないせいで、そこはかとないgdgd感ただようストーリーになっている。まあ、たった1話で敵との遭遇から弱点鷲摑みまでいっちゃってるので、シリーズ的にはちょっぱやな展開なことはまちがいない。

個人的には、“扇”関連の描写がわかりづらくて気になるのだが――というか、これまで流布しているドイツの二次資料の描写とちがいすぎるので――、このへんの原書は大半が実家に置きっぱなしなので、次に帰省・回収してきたらまた検証してみたい。

以下、ちょっと話はちがうが、依光先生のご体調はいかがなのだろう。都合により休載がこれだけ続くと、心配な一方で、ハ●ター×ハン■ーじゃないんだから、ハヤカワそろそろなんとかせいという気持ちがふつふつと。ハヤカワ・デザインというと社内に制作スタッフがいると思われるが、コラージュで表紙つくって、サインだけ依光先生ってェ形式は、いいかげん限界ではないのか。
実際、表紙はイメージ先行でなんとかなっても、一場面を描写する口絵などは、正直ひどいものだ。それぐらいなら、挿画だけでなく口絵も廃止して、その分、値段下げろと思うのは、ぶっちゃけすぎだろうか。

Posted by psytoh