エシュバッハ著 『最大の冒険』
去る2月27日、アンドレアス・エシュバッハ著『ペリー・ローダン ~最大の冒険~(Perry Rhodan – Das größte Abenteuer)』が発売された。
848ページのハードカヴァーという、ほとんど鈍器クラスの代物であることは、先日開催された3000話記念イベントに出席された井口さんたちのツイッターなどでも判明している……のだが、Amazonジャパンから到着するのは来週末の予定。結局、待ちきれなくてKindle版を購入し、読んでいる真っ最中である。
お試し版で紹介した、《スターダスト》のゴビ砂漠着陸に端を発する三大ブロックの疑心暗鬼から第三次世界大戦勃発を告げる核ミサイルの発射……までが言わばプロローグ。
本編は1936年6月8日、ペリー少年の誕生から、時を遡り1889年のドイツはオーバーバイエルン地方、祖父であるアロイス・ローデン(!)に始まるローダン家の歩みを紹介する。
移民申請時にアメリカ風に修正され、ローデン(Roden)→ローダン(Rhodan)となったとか。大怪獣ラドン(Rodan)ぢゃなかったんだ……(笑)
※前回の記事:ローダン前史お試し版
カールとジェイコブ、ふたりの息子たちの成長と結婚。ペリーと、妹デボラの誕生と事故死(今月末にハヤカワ版でも言及される)。第二次大戦の勃発と、ジェイク、ついでマリーの従軍で、しばらくのあいだペリー少年がカール伯父の農場ですごしたことは、1000話「テラナー」から読者諸兄もご存じのとおり。
若干セリフ回しとか異なっていて、当時ジェイクとマリーは太平洋戦線にいたとされる。
その後、マンチェスターに戻ったペリー少年は、大きな虫眼鏡で蜂を観察している黒人の少年と出会い、トモダチになる……。
やはり1177話に登場し、学校で起きた星球儀盗難をめぐる事件にからんでくる、このリロイ・ワシントンくんが、ペリー少年の成長を綴る本編と、1971年、世界の終わりと人々が怯えるペントンヴィル刑務所にいるアダムス一人称の幕間とをゆるやかに結んで物語は進む。
ローダンは母のいとこ(1177話だと腹違いの弟?)ケネス・マローンの勧めでカーソン・ロング・ミリタリー・アカデミーに転校。ウェストポイントこと陸軍士官学校を修了後、アリゾナの空軍基地でパイロットへの道を歩んでいく。
そして、レスリー・パウンダーの招きで、若き少尉は“エリア51”ことグルーム・レイク空軍基地へ……。
※3/7訂正 はとこ(Großcousin)って書いてるけど、伯母の息子でしたーorz
最終的にローダンは《スターダスト》で月へ飛び、アルコン宇宙船に遭遇。第三勢力を創設し、人類に宇宙への道を切り開く。IVsの侵略を撃退し、1975年、冥王星の自動監視ステーションが探知したヴェガ星系での構造震動の謎を解き明かすべく、《グッド・ホープ》で、人類はじめての超光速飛行を敢行する。
それは最大の冒険であり、いままさに始まったばかりなのだ――。
まさかの男坂エンディングである(爆)
#本編は、ワンダラーからの帰還後のエピソードをちょっと含む。
だが、本書はNEOとは違い、古いスペースオペラの語り直しではない。
“最大の冒険”=ローダン・ヘフトは1961年の開幕以来、数十年にわたって継続されており、したがって第1話「スターダスト計画」にたどり着いた時点で本書の目的は完了している。
作中、ローダンは様々な人々と出会い、友好を結び、あるいは対立する。そのすべてが、ペリー・ローダンという人格を形作っている。
これは、長大なシリーズの主人公、ペリー・ローダンの前半生を語り、いかなる体験が彼を彼たらしめたか、の物語。ローダン(ローデン)の一族がどんな人々かを語り、その血脈を受け継いだ人間ローダンをひもとく物語なのだ。
エシュバッハの語り口は毎度のごとくで、ローダン一族三代がそれぞれ丁寧に描かれているし、ローダンと関わり合った人々のその後とか、いろいろ興味深い。いつもの悪い癖で、あちこち拾い読みしてしまったが、現在アタマから熟読中。
実在の人物も多数おり、特に宇宙飛行士関連は、ちゃんと調べてみないとアレだが、多くが歴史上の人物といえる。ジム・ラヴェルに、「土曜日にオルドリンの35歳の誕生パーティをやるんだ。ヒマだったら、おまえも来ないか?」と誘われて、オルドリンとアームストロングに紹介されちゃったりするのだ(笑)
うん、とりあえず、3000話より楽しいや(おい
ありがとう、エシュバッハ!
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