318巻『フルロックの聖域』読了

ハヤカワ版, 誤訳

ハヤカワ版318巻『フルロックの聖域』を読了した。著者は前半「フルロックの聖域」がウィリアム・フォルツ、後半「レイチャの後継者」がH.G.フランシス。訳者はそれぞれ増田久美子氏、青山茜氏。

前半は、ユーロクのトリトレーアから入手した情報をもとに、太古種族ペルトゥス(Pehrtus)の手がかりがあるという禁断惑星をローダンが訪れる。ローダン、ゼノ、ガイト・コールが降下した惑星には、砂に埋もれた巨大な宇宙船が存在し、その中では退行した蛮人たちが石の脳フルロックを崇めていた……。

後半では、ナウパウム・レイチャトの元首レイチャが死去し、後継者をめぐる争いが勃発する。次代レイチャ、マト・プラヴトの地位にあるヘルタモシュは、過激派の陰謀を信じようとしない。事態を重く見たローダンが、代わりに一計を案じ、単身レイト中枢への潜入をはかる……。

実は今回、非常に重要なポイントが誤って訳されてしまった。114p、ローダンと対話するペルトゥスの台詞「種族は異惑星に移住しようと……」であるが、原語は Galaxis。「異銀河」なのだ。直後のローダンの「かつてこの銀河を支配していたペルトゥス」も原文にない誤った修飾。ペルトゥスは、本来、異銀河の種族なのである。そうして、ヘルタモシュが温めている異銀河移住による人口爆発対処計画とからんで、物語の焦点は、次回以降隣接銀河カトロンへと移っていく……のだが。実に残念。
ローダンの伏線は、つねに新しいものが正なのだ。超訳もひとつの翻訳手法だが、それで伏線が消滅してしまってはシリーズ物は訳せまい。

あと余談:発売前にネタバレはないでしょうや(笑) >五十嵐さん

12/12追記 ×星域 ○聖域 ……orz
12/13追記 ネタバレ反転(をひ

Posted by psytoh