アンドレアス・ブラントホルスト

ドイツSF, 作家情報

先頃ついにローダン・ヘフト本編(3005話「人類のゆりかご」)にも進出したブラントホルスト(Andreas Brandhorst)。ラスヴィッツ賞がらみで整理してたら予想外に記事がふくらんできたので、別項で立てよう。

ブラントホルストは1956年5月生まれ。1984年にイタリア人の嫁さんをもらってから、20年近くヴェニス近郊で暮らしていたそうだが、現在は帰国してニーダーザクセン州在住。
作家としては、1978年のDie Unterirudischen(地底人、と訳すといしいひさいちのアレを連想してしまうが……どうだろうw)でデビュー後、主としてヘフト作品を手がける。代表作は〈テラノーツ〉シリーズで、別PNで参加していたツィークラーとともにメインライターといえるだろう。

1991年の『夢の力』以降、10年以上にわたって新作の発表がないが、その期間は翻訳者として活躍していたようだ。テリー・プラチェットの〈ディスクワールド〉の大半をブラントホルストが訳出したらしい。あれ41作あるよね……。

で、以前、カムバック作がローダンと書いたが、あれは嘘だ(爆)
カンタキの『ディアマント』の方が先だった。お詫びして訂正する。ともあれ、以降コンスタントに作品を発表し、また多くが好評を博している。
以下に復帰後の“第二期”作品をリストアップする:

Diamant / ディアマント (2004)*1 KLP2005ノミネート/DSFP2005ノミネート
Der Metamorph / メタモーフ (2004)*1
Exodus der Generationen / 世代に渡るエクソダス (2004) ローダン・レムリア3
Der Zeitkrieg / 時間戦争 (2005)*1 KLP2006ノミネート
Die Trümmersphäre / 瓦礫球体(2005) ローダン《パン=タウ=ラ》2
Feuervögel / 火の鳥 (2006)*1 KLP2007ノミネート/DSFP2007ノミネート
Feuerstürme / 火の嵐 (2007)*1 DSFP2008ノミネート
Feuerträume / 火の夢 (2008)*1
Äon / 永劫 (2009)
Kinder der Ewigkeit / 永遠の子ら (2010) KLP2011ノミネート/DSFP2011ノミネート
Die Stadt / 都市 (2011)
Das Artefakt / アーティファクト (2012) KLP2013ノミネート/DSFP2013受賞作
Seelenfänger / ソウルキャッチャー (2012)
Der letzte Regent 最後の支配者 (2013)
Das Kosmotop / コスモトープ (2014) KLP2015ノミネート/DSFP2015ノミネート
Ikarus / イカルス (2015)
Das Schiff / 船 (2015) KLP2016受賞作/DSFP受賞作
Omni / オムニ (2016)*2 KLP2017受賞作/DSFP2017ノミネート
Das Erwachen / 覚醒 (2017) KLP2018ノミネート
Das Arkonadia-Rätsel / アルコナディアの謎 (2017)*2
Die Tiefe der Zeit / 時の深淵 (2018) KLP2019ノミネート(審議中)
Ewiges Leben / 永遠の生命 (2018) KLP2019ノミネート(審議中)
(*1) カンタキ・サーガ
(*2) オムニ宇宙

カンタキ・サーガは現在6作、前半がディアマント三部作、後半がグラーケン三部作。昆虫型エイリアン〈カンタキ〉によって、人類が星間航行種族としてアップリフトされた世界が舞台。
オムニヴァースは、超文明の連合体〈オムニ〉の末席に人類が加盟した宇宙が舞台となる。

ご覧のとおり、多作かつ評価が高い。クルト・ラスヴィッツ賞(KLP)、ドイツSF大賞(DSFP)とも、受賞を逃したものも大抵は次席ないし三席に該当する票を集めている。正直、これだけ多数の候補作を抱えている作家自体、ラスヴィッツ賞のアンドレアス・エシュバッハかファンタスティーク大賞のマルクス・ハイツくらいしか個人的には思い浮かばない。

昨年末、ローダン3000話がらみのインタヴュー・ラッシュの際にブラントホルストの記事もあり、すでに今年刊行の新作の準備も進んでいるみたい。
今年で63歳のブラントホルスト。引き続き活躍を期待したい。

■作家の公式サイト:Andreas Brandhorst – Schriftstellr
■Wikipedia:Andreas Brandhorst

Posted by psytoh