訃報:トマス・R・P・ミールケ

ドイツSF, 作家情報

トマス・R・P・ミールケ (Thomas Rudolf Peter Mielke)
1940.03.14 – 2020.08.31

クラウス・フリックのTweetやPhantastik-Newsの記事等によると、ドイツのSF作家、歴史小説家、SF文学研究科トマス・R・P・ミールケが8月31日に死去したとのこと。享年80歳。

クリエイティブ・ディレクターを本業とする一方で、60年代にはRex CordaやAd Astra、Terranauten等数多くのヘフト小説に作家として名をつらね、80年代には『聖宇宙(Das Sakriversum)』でクルト・ラスヴィッツ賞長編部門を、「宇宙にひとつの月(Ein Mord im Weltraum)」でSFCD文学賞(後のドイツSF大賞)の短編部門、『壁の崩れた日(Der Tag, an dem die Mauer brach)』で同じく長編部門を受賞するなど活躍した。
80年代後半以降は、『ギルガメシュ』『イナンナ』『カール大帝』『カール・マルテル』など歴史小説のジャンルへ場を移し、多数の著作がある。

SFというジャンルそのものについての著作も多く、代表作は、H・J・アルパース、R・M・ハーン、W・イェシュケらと編纂した『SF文学レキシコン(Lexikon der Science Fiction Literatur)』(Heyne)で、古今のSF文学総解説、タイトルリスト付きという代物である。
「タイトルリスト訳してるときって、さいとーさんシアワセそうだよね……」とマガンに言わしめた逸品だ(ちょっとちがう)。こんなシリーズもあったのか、と幾度も読み返したくなる。1991年刊行、98年には改訂版も出ている。Kindle化しないかな……。

クラウス・フリックは親交があったらしく、「またSFの大作を発表してほしかった」とその死を惜しんでいる。
永年のジャンルに対する貢献に感謝し、その冥福を祈りたい。

■Phantastik-News:Gestorben: Thomas R. P. Mielke (1940-2020)
■ENPUNKT-Tagebuch:Thomas R. P. Mielke ist gestorben
■Wikipedia:Thomas R. P. Mielke

Posted by psytoh