惑星小説ポケットヘフト拾遺

メモ, ローダン, 書籍・雑誌

意外と食いつき評判のよかったPRポケットヘフトのタイトルリスト。
うちにも全部あるわけではないし、あっても読んでないものの方が多いわけだが、ペリペのあらすじ等たぐって、いくつかネタ的にピックアップしてみよう。

4巻『《バジス》をこの手に』は、1799/1800話の空白期間が舞台。
ヴォイド遠征、アプルーゼ侵攻、そして火星のアレズム転送を経て、すっかり冷え切ったローダンら活性装置携行者と自由テラナー連盟の関係を象徴するように、第一テラナー、ブッディシオ・グリゴールは老朽化した《バジス》の売却を検討。
アダムスらはなんとか事態の打開をはかるも、議会の承認を経て、歴史的巨船はドナドナされることに。そしてスプリンガーやらブルー族等、意外と引く手あまた(笑)
一方で、巨船に愛着をもつバジス退役兵の一団が、売却を阻止せんと動きだし……。
最終的に、《バジス》がギャラクティック・ガーディアンのトンネル会社に買収され、巨大カジノに改装されたのは皆様ご存じのとおり……かな? あれもう20年くらい昔の話だしね!!

5巻『氷結の未来』は999/1000話の空白期間が舞台……つーか、新銀河暦403年とゆーから、1007話のちょっと前の時点である。新型ミニATGのテスト中に消息を絶った《TS-T8》。その乗員の数奇な運命が物語られる……のだが。
彼らの巻き込まれたドンパチとゆーのが、なんと、超知性体セト=アポフィスvs冷気のエレメントであるwww

10巻『幽霊船《クレストIV》』は、ファンダムでも何度か取り上げられたことのある、《クレストIV》サルベージ作戦。
西暦3437年、50年前に受信されて以来、《クレストIV》の探知シグナルがとだえた。遅延航行の関係で、本来2秒ごとに発進されるシグナルが、外界では50年間隔になるとやらで、“通信途絶”したことが確認されるまで50年以上かかったというわけだ。
かくして、ローダンの特命をうけ、新型ディメセクスタ駆動(ダッカルドライブだ)を搭載したソラー級巡洋戦艦《ハンプトンT》がM-87へ向けて発進する……のはいいんだけど。3437年って、カレンダーを確認すると、《マルコ・ポーロ》がグルエルフィンに向かった直後じゃないか、この作戦(笑)

11巻『デログヴァニアを覆う死』は、新銀河暦1年が舞台。原題が『~への帰還』とあるとおり、主役はかつてこの惑星を訪れたアラスカ・シェーデレーアである。
個人的には、「ケモアウク! ケモアウク!」のあの話で、ガネルクの運命はきれいに閉じたと思うんだけど……短編「アイテランへの帰還」でアポりんが悲惨な目に遭うように、思い出したようにローダンたちがかつての犯行現場に立ちもどると、ろくなことにならない気がする。
悪しき発展を遂げた人形文明。物質の沼オウレルの介入。そして隻眼のライレまで登場して、最後はガネルクの超自我を物質の泉の彼岸へと連れていく……らしい。それは、果たして大団円といっていいのだろーか。

13巻『テラ・イン・トランス』は新銀河暦6世紀末のテラが舞台。
クロノパルス・ウォールに閉ざされた銀河系の中、さらにデフトラ・フィールドに包まれ禁断ゾーンと化したソル星系。すでにテラは荒廃し、シミュセンス・ネットワークが稼働している。これは、クリル=クラン神に挑んだひとりの男の、敗北の物語――。
と、書いたはいいけど、1500話翻訳に添付するつもりだった1491/92話の要約「テラは夢を見ている」は、現在絶賛非公開中だった……(汗)
と、とりあえず、テラニアの廃墟で、ドリームヘルパー/ドリームハンターの両派閥が生まれた背景、マルチタスキング技術の流布等、上記2話の著者であるフェルトホフ自身による落ち穂拾いの巻。
「テラは夢を見ている」 2019年4月にごやてん収録

15巻『不死を鍛つ者』は、紀元前24000年頃のアンドロメダを舞台に、島の王の台頭にいたる過程を物語ったストーリー。
だが、1574話の過去編とはかなり齟齬が生じるため、正史といえるかは相当微妙ではある。
なおこの巻は、ファンジンF-Aktorで一部翻訳が発表されている……けど、入手は困難か?

16巻『《ソル》の長い道』は、ATLAN674話「権力の終焉」とローダン・ヘフト1048話「アトランの帰還」の間に位置するストーリー。
ついに座標を入手したヴァルンハゲル=ギュンスト宙域をめざす《ソル》。しかし、艦載脳セネカの警告のとおり、艦のポジションは予定より数百万光年もずれていた。原因を探るうち、正体不明の攻撃により、次々と倒れていく仲間たち……。アトランは謎を解き、ミッションを完遂することができるのか!?
……という感じで、1048話の時点でアトランの周囲にいない人材が次々と抹殺されていくおそろしい話である(笑)

18巻『タリガを見ずして死すべからず』は、新銀河暦1203年の事件。
アコン人からテラ企業へと売却され、改造された惑星タリガは、一大歓楽世界として大々的なキャンペーンとともにオープンした。しかし、本来植民に適さない惑星を改造する際に――半ば故意に――見逃されたファクターのため、パラダイスは地獄へと一変する……!
えーと、このタイトル、「日光を見ずして結構と言うなかれ」みたいな素敵な案を思いついたかたは、是非ご一報を(笑)

23巻『死にさだめられた者たちの遠征隊』の舞台は西暦2400年の銀河系。
両親と死に分かれ、家系の過去も知らない法学生キャミー・ニッセン。とある法律事務所に呼び出され、訪れた先で彼女を待っていたのは、同じような立場のふたり…デリングハウスとフレイト。さらに現われたペリー・ローダンは、3人に、2326年、細胞シャワーを浴び不死となりながら、細胞活性装置を得られなかったものたちの運命を物語る……。
そして、死に定められた者たちが最期の地と選んだ惑星で、その子孫たちを待つものはいったい何か?
……つーわけで、これはちょっと読んでみたいなぁ(笑) >マガン

26巻『ダタバールのシレーネ』は、新銀河暦435年が舞台とゆーことで、1299/1300話の空白期間を扱ったもの。
エスタルトゥ十二銀河の奇蹟中、本編で登場しなかった〈タタバール銀河のカリュブディスのシレーネ〉を題材としたもの。主人公はフェルマー・ロイドで、永遠の戦士クロフォールとの対決まである。
あと、余談だが、1300話で登場したローダン家の隣人、非ヒューマノイドの網を歩む者オビーフも活躍……活躍、していた、はず(うろおぼえ)。

……。
惑星小説は玉石混淆というか、おもしろいものは本当に絶賛できる。マガンあたりはそろそろ耳タコかもしれないけど、ヴルチェクの『暗黒の諸世紀』(318巻)とか、確かにカンターロ・サイクル関連の予備知識前提ではあるけど、いつかちゃんと紹介したい。
落ち穂拾いとかわたしも書くけど、その一方で、エーヴェルスの一連の作品とか、ローダン宇宙を拡大したものも確実に存在する。
コレクター世代がそろそろリタイアとか、電子出版の一般化とか、売れなくなった理由はいろいろあろう。しかし、惑星小説はこれまでも様々な形で再版されている(Weltbild社からの合本形式とか、今回初めて知った)し、いつかまた、ちがう形でわれわれの前に姿を見せることもあるだろう。そして、“新作”と出会える日もやってくることを祈りたい。

Posted by psytoh