だって僕は星だから
シュワちゃんの「Stellar Stellar」動画を見ていて思い出した(笑)
これまだ、ちゃんと紹介してなかった。 ATLAN550話「ヒドゥン=X」(グリーゼ)より、“高みに輝く星”ことハイ・シデリトについて。
まず、ATLAN500話「ソラナー」にはじまる〈《ソル》の冒険〉サイクルの状況説明など:
時は西暦3791年(新銀河暦204年)、惑星“ネズミ取り”からの強力な牽引ビームに囚われた《ソル》。打開の方策をもとめ、おなじくビームにつかまった巨大な“城”へ派遣された調査隊は、そこでめざめたばかりの男を発見する。彼はアルコン人アトラン……!
アトランには、物質の泉の彼岸へ旅立って以降の記憶がなかった。ただ、コスモクラートから与えられた使命、「《ソル》をヴァルンハーゲル=ギンストへ導く」べきことだけをおぼえていた。調査隊によってひそかにソル・セル=1へ運び込まれたアルコン人は、200年のあいだに築き上げられた艦内の醜悪なカースト・システムSOLAGと、ハイ・シデリトをトップにすえた独裁体制に驚愕する。
一方、当代のハイ・シデリト、チャート・デコンはSOLAGに混入した“異物”を排除せんとするも、認めざるをえなかった。艦内諸勢力をまとめ上げて牽引ビームを止めたアルコン人の手腕と、かつて自由を求めて旅立ちながら自らそれを失ったソラナーたちに与えられた“新たな使命”がもたらすポジティヴな変革を――。
惑星カイルを抑圧したロクスハル人、これを感化する“精神ファクター”、アル=モハンドート銀河の“ニッケル収奪者”ユステロン人……。反目し合うツートップに率いられた《ソル》の前に立ちふさがる者たちの“背後に立つ未知者”ことヒドゥン=Xはネガティヴ超知性体だった。かつてセト=アポフィスの意識片より創られ、捨てられた挿し木、鏡像体。他者を顧みず、ただひたすら力を求めた先にコスモクラートたらんと欲するその道は、実は創造者とおなじ袋小路なのだが……。
ヒドゥン=Xの座たる要塞ユステリオーンに潜入したアトランとチャート・デコン。余人をまじえぬ状況で、ハイ・シデリトが思わず本音を漏らす。
「ハイ・シデリトか」デコンがひときわはっきりと、「わしはこの職も、その名も大嫌いだ。その意味すら知らぬというのに」
「その名称を考案したのは、なかなかの智者だぞ。シドゥスが“星”を、シデリスは“星の”を意味する。インターコスモにも影響を与えた、地球の古い言語でな。ハイも、また別の昔のことばで“高い”のこと」
「では、全体での意味は?」デコンは立ち上がり、アトランへにじりよった。
「宇宙的システムにおける、高みに輝く星」と、アトラン。「まあ、意訳だがね」――ATLAN Nr. 550 Hidden-X
アトランはやや回りくどい言いかただが、要は“英語とラテン語のチャンポン”だと言っている(笑)
SOLAGというシステムの、一番てっぺんに輝く星である、と。
ハイ・シデリトの名称は初代独裁者であるエルヴィン・グラドルの考案だが、当時の《ソル》でラテン語教育とかあったんかいなとは思う。まあ、インターコスモに駆逐されて、英語ですら死語なことは後のローダン正篇でも言及があるわけで。死語+死語なわけ。
ともあれ、デコンはヒドゥン=Xのユステリオーンにおける宿体たる彫像とともに自爆し、《ソル》を……彼の“家”を護ったのだった。 アトランと、次代の“高みに輝く星”たる息子ブレッククラウン・ハイエスに未来を託して。
アトランを頂点にすえた亜鈴船は、ヒドゥン=Xとその超兵器フレクト=ユンをうちやぶり、背後で暗躍していた反ホムンクと〈反それ〉、ひいては無名ゾーン自体にひそむ勢力との戦いを経て、いったんは失われたヴァルンハーゲル=ギンスト星域の座標をとりもどす。多くの犠牲をはらい、いくつもの銀河で〈平和胞〉を築いたはてに、収容したスプーディを携えてクランドホルの公爵領という“緩衝地帯”を、〈それ〉とセト=アポフィスの力の集合体のはざまにうちたてる。
ローダン正篇とATLANの連動、という面では、ヒドゥン=Xの正体が明らかになるのが正篇で“自転する虚無”がフロストルービンであると判明直後とか、銀河系艦隊がフロストルービン宙域で無限アルマダと遭遇するのと同時に、ヒドゥン=Xの最終兵器フレクト=ユンのあるゾーン=Xへ突入するとか、フォルツが草案を離れたあとも、グリーゼはけっこう頑張っている。これは盛りあがるw
ハイ・シデリトという名称はさらに数百年を経ても残されているが、もはやかつてのように“てっぺんに輝く星”ではなくなっていた。実に残念な話ではある。
■Perrypedia: High sideryt
※9/14 曲名の綴りまちがいを修正。さんきゅーマガン♪
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