ダッカル次元の鞭?( ̄∀ ̄)/~~~ピシピシ
Die Rute / 【仮訳】〈鞭〉
ダッカル次元バルーンにある、星座というか星団というか。現在、ハヤカワ版では“扇”と訳されているもの。
その原語はRuteといい、同義語は Peitsche……“鞭”のことである。過去接してきた先読み情報におけるそれと、訳語がぜんぜん一致してないので違和感ありまくりだったのだが。少し、調べてみた。
鞭、というと、ふつー連想するのは、以下のようなものだろう。
ただし、鞭といっても、Rute の場合、打楽器であることが通例のようだ。
《Wikipedia「むち(楽器)」からの引用》
一般には、2枚の細長い木板の一端を蝶番で留め、それを閉じることによって鋭い音を発する。これをwhipとも呼ぶ。また、この構造のため、ドイツ語ではHolzklapperとも呼ぶ。
なお、日本語に「むち」と訳される楽器には、ドイツ語でRuteと呼ばれる楽器もある。これについてはルーテ参照のこと。
上記「むち(楽器)」は、こーんな感じ。
間のジャバラがないけれど、なんとなく扇に見えなくもない。たぶん、このへんのイメージから、“扇”という訳語が出てきた――んじゃないかな?(憶測)
ただ、扇という語からだと、しごく平面的なイメージがある。初登場の号である「ダッカル・ゾーンにて」の原書を参照してみないと確実なことはいえないが、そんな扇状地みたいなものとは、少々考えづらい。
ところで、上記引用には、Ruteについては「ルーテ」の項が立っていると書かれている。ちょっとそちらを見てみよう。
ルーテとは、柔らかい鞭の形をした楽器(打楽器)のことである。日本語に「むち」と訳されることが多いが、むちには別の楽器もあるので注意を要する。
(中略)
柔らかい1本の棒、もしくは細い棒や細い枝を束ねたものを、2個用意して打ち合わせる。または、1個で大太鼓のヘッド(皮)やリム(枠)を叩いて音を出す。
……別のモンなのかよっ(笑) なんともまぎらわしい話である。
で、Googleの画像検索でさがしてみた。正直、上記Wikiの「柔らかい鞭」という表現から、こんなものを想像していたのだけどw
実際には、なんだか茶筅か竹箒みたいな代物が出てきたり。
これを2つ互いにぶつけ合ったり、太鼓をたたいたりして、鞭のような効果音を出す、らしい。
さて、ここで今度はPerrypediaのダッカル次元バルーンから引用してみよう。一応、仮訳である。
転移によって、恒星と惑星は全長およそ0.21光年の宙域にふりまかれ、ルーテに似ていなくもない星座を構築する。星の密度が最も凝集しているのは、〈ビロードの目〉の直近で、ルーテの握りに類似している。
上掲のルーテの写真でいうと、左上にブラックホールがあり、吐き出された星々が放射状に配置されていく……と考えるとわかりやすいかもしれない。個人的には、茶筅よりも「ドラゴン花火」と言ってしまった方が理解できる(爆)のだけれど。ドイツにドラゴン花火はないのかのぅ。
そんで結論としては、〈鞭〉でよかったんじゃーないのかなーと。思うんだけど……ハヤカワつーかローダンってこんなラノベやファンタジーめいた用法は避けてるっぽいしなー。
■Perrypedia: Dakkardimballon (Ruteの検索転送先)
■Wikipedia: むち(楽器)
■Wikipedia: ルーテ
ディスカッション
コメント一覧
ふむふむ、またシリーズ得意の「超訳」でありますか。ただ「鞭」では正直ピンとこないので「扇」の方が(日本語のちょー訳でも)まだ良いような気がします。読者が「扇的に開いた三次元の星域」を連想できましたし。しかし、するってえと「ブラックホールが扇のかなめ」云々の描写は全て日本ででっち上げられた物ということですか? なんかもうオリジナル小説読まされてないかと・・・
「鞭」の仮訳でペリペの説明とか見ると、“火花”の配列が蛇行してるように思われるかもしれないので、ひとつの手法としてはアリかもしれませんねー。「かなめ」については、んー、でっち上げっつーか、たぶん、そこが「ルーテの握りに相当する」部分なんじゃないかと思います(未確認)。“扇”にするなら、まあ妥当な修正でしょう。
自分も上記の文章を書いていて、ああ、扇状地を連想したのかな、とは考えたんですが。でも、他におよぶ余波を考えると、素直に訳しておいた方がいいと思うんですよ。
#つ「ルーテ(細い竹等を一方で束ね放射状に広がった楽器)」 1回でいいんだ解説は。
まあ、わたしがローダンの超訳を毛嫌いするのは、謎の超時空感情量子エモシオンが忘れられないからだし。あと、そうやって生まれた設定を関係ないとこに挿入するからなんですけどね……。