366巻『ベラグスコルス強奪』雑感

ハヤカワ版, メモ

ハヤカワ版366巻『ベラグスコルス強奪』、同名の前半が著者フォルツ、後半「免疫保持者の蜂起」が著者クナイフェル、訳者は天沼春樹さん。
前回から継続する《ソル》編から、メイルストロームの人類へと場面転換がなされる。

前半「ベラグスコルス強奪」においては、《ソル》にダッカル次元バルーンからの脱出を可能たらしめる付加装置ベラグスコルスを奪取するため、ラール人の銀河への潜入コマンドを派遣する本筋と、イホ・トロトの「ご懐妊」という事態に激しく動揺するアラスカたちの脇筋とがからみあって進行する。
ツグマーコンのトンネル船拿捕からラール人の研究惑星ヴォルターハーゲンへの潜入までは、何事もなさすぎるくらいあっけなくストーリーが進む。じゃあ、話のキモはトロトの出産なのかというと……ちょっと判断に悩むところ。
過剰なまでに心配するアラスカと、知らぬ存ぜぬなコスムやロイドの対比はおもしろいっちゃおもしろいが。こんなやばい昇天コマンドに妊婦さん連れてっちゃあかんだろ、実際。ある意味、鈍すぎて何にも気づいてない?ローダン氏は最後まで蚊帳の外である。をいをい。
あと、「ハルト人は出産すると死ぬ」というのは定説なんだろうか。ひょっとして、銀河系サイドでの「われわれ、人口をちょっと増やすことに決定した」という発言をうけてのことかとも思ったが、大いなる黒きゼロへの転落がヒキガネになった、とトロト自身も言っているしなあ。

さて、後半「免疫保持者の蜂起」は、メダイロン星系がメイルストロームの転送特異点〈喉〉へと転落しかかっている事態をうけ、アフィリカー政府が疎開先をさがす艦隊を派遣するエピソードからはじまる。准提督であるトレヴォル・カサルは疎開に反対する“不屈派”の急先鋒であり、疎開支持派のホッジ提督率いる今回のプロジェクトの失敗を画策するのだが……。
アフィリカーの設定は、「そこに愛がない」のであり、その分、本能が強く発揮されるのかと思っていたのだが……なんか微妙にちがうなぁ。憎悪とか、愛でない感情は残っているわけで、いまいち通常の人間との差異がわかりづらい気もする。ってか、愛を病気だと思っている以外、大差ないやね(笑)
で、トレヴォル(英語読みならトレヴァーなわけだし、独語読みならトレフォル)くんの活躍だが。たいそう格好いいのはまちがいないんだが、結果的には、あれもこれもタナボタばっかのような。まぁ、かれの成り上がり道はまだ登りはじめたばかりだし(をひ)、次回以降、さらなる外道っぷりに期待したいところ。

作中、ホッジが「提督」、カサルが「准提督」となっている。原語はそれぞれ、Admiral と Vizeadmiral。アトランがよく「提督」と呼びかけられるが、これ、実際はどの程度の階級なのだろう。
銀英伝とか見てると、将官になると「提督」のようだが。ローダン世界の太陽系艦隊は、宇宙の海は俺の海じゃないけど、海軍系の階級を使用しているっぽいので、そのへんから類推してみる。ドイツ連邦の海軍では、上記階級はそれぞれ、大将、中将である。一方、旧ドイツ海軍では、中将、少将に相当する。これは、旧軍では上級大将ランクが存在した関係で、一階級ずつランクダウンしているわけだ。そして、旧海軍での大将は Generaladmiral。

ここで、デリングハウスのことを思い出してみたり。「海軍階級なのに、なんで将軍?」なんて言われていたかれであるが、海軍大将の略であると考えると、わりとすっきり……しないかな(笑)
#ペーテル・コズノフ中将がGeneralleutnant――陸軍階級だったりするから、一概に海軍階級流用、とも言えないのだった(^-^; General は陸軍・海兵隊大将にあたる。

まあ、それはさておき、艦隊司令官は中将あたりかららしいので、ホッジが中将、カサルが少将、と考えたいのだが、どんなものだろう。

っと、忘れていた。1章でカサルがペルトたちを「免疫保持者」と呼んでいるのはおかしかろう。クナイフェルが Immunen とやってしまったのかもしれないが……。

以下余談:最近更新の頻度が落ちているのは、単にめんどくさがっているだけ(笑) だって、この記事書くのに2時間近くかけてるんだぜ……? PSUの話題とか書けんしなぁwww

同日追記:いま気づいて、クロードリン「准将」を調べたら Kommodore だった。准将(代将)があるってことは、英米海軍の階級相当なのかな。とはいえ、薩英戦争当時の英国東印艦隊司令長官キューパーが少将だったり中将だったりするのは vice admiral の解釈ちがいかもだしにゃ。

Posted by psytoh